相模の小太郎 第9話 兄弟 【シーゲルの歴史小説】
「若旦那のおじちゃん…今度は友達を連れて来たの…?(笑)」(小太郎の弟妹(孤児)たち)
「ああ~こいつは「孫九郎」~
オレの弟なんだ~みんな宜しく頼むよ~(笑)」(新九郎)
この「新九郎」と言う若旦那の正体は…
小田原…後北条家の三代目当主…
「北条氏康」のお忍びの姿で…
あとの二人は…
小田原・後北条家の「乱波(忍び)」…
その配下の風魔忍び…「二曲輪猪助」であった…。
そして…新九郎が「弟」と言った…この「孫九郎」は…
もちろん…浜中の小太郎たちはそのことを知らない…
「わあ~孫九郎のおじちゃん…
男らしくて~強そうで~カッコイイね~(喜)」(小太郎の弟妹(孤児)たち)
「孫九郎」こと「北条綱成」は…
子供たちが言うように…男惚れしてしまうような堂々した男ぶりであった…
真っ黒に日焼けして野生児のような精悍な顔つきから…
時々、白い歯が見せて…笑顔をみせる…
その笑顔からは…なんともいえぬ清々しさを感じる…
とにかく…この「孫九郎」…男らしい…の一言…
「孫九郎」は…子供たちにすっかり懐かれてしまった…。
小太郎たちは…
この「新九郎」たち4人と共に沖へ漁に出ると…
その日の漁は…大漁だった…
大の大人が4人も漁に加わっているだけに…
漁の収穫が増え、あっという間に大漁になったのだ…
もう何度か漁を手伝っている「新九郎」たちと…
今日が初めての船と漁だというのに…
行きに2~3度、吐いただけで船酔いを克服してしまった…
黄班(猛虎)のごとき…
「孫九郎」の天性の活躍もあったからだ…
「孫九郎さんは…ちょっと覚えれば…
すぐに一人立ちして漁に出れるようになりますよ…(驚)」(浜中の小太郎)
「ああ~おぬし…腕っ節も強えーし…飲み込みも早え~(驚)
堂々として…まるで猛虎のようじゃ…(驚)」(山本勘助)
「どーも…(笑)」(孫九郎)
漁から帰り…舟を浜にあげると…
「はまや」の息子「はまや才助」と…はまやの奉公人「おゆり」が…
「加賀屋」の娘「静江」と共に…小太郎たちのもとに現れた…
「あれ?今日はずいぶん帰りが早いんだね~?(驚)」(おゆり)
「今日の漁は…ダメだったのか?」(はまや才助)
「へへへ~これを見てみなよ~(笑)」(山本勘助)
「うわ~すげ~大漁じゃん~(驚)」(はまや才助)
「今日も…新九郎さんたちが…漁を手伝ってくれたんだ…
新九郎さんたちのお陰だよ~(笑)
ねぇ~新九郎さん~(笑)」(浜中の小太郎)
船からの荷下ろしを手伝っていた…
小太郎に振り向き…笑顔をみせると…
色白の美少女「加賀屋」の娘「静江」の姿が目に入った…
「………(驚)」(新九郎と孫九郎)
「静江」は…初対面の新九郎たちに…頭を下げて挨拶をすると…
すぐに小太郎の側に行って…ニコニコと楽しげにしている…
「あ…あ…兄じゃ…
美しい…娘じゃな~どこの娘じゃろうか…?」(孫九郎)
「いや…知らぬ…わしも初めて会ったのじゃ…」(新九郎)
二人は…静江のことがよほど気になるらしく…
作業を手伝いながら…静江のことをチラチラと何度も見ていた…
静江のことを…何度も見るたびに…
小太郎に懐き…小太郎の側で…小太郎の笑顔を見て…
にこやかに微笑んでいる静江の姿を見た…
すると「静江」の事情を…忍びとして把握している…
「風魔の小太郎」が…静江の身の上を…新九郎たちに詳しく説明した…
「そうか?あの美少女が…ウワサの加賀屋の娘か…(納得)
しかし…兄じゃ…
どうやらオレたちの出番は無さそうじゃな…(苦笑)」(孫九郎)
「ああ…あの二人…
身分の違いから…結ばれるようなことは無いだろうが…
今は…そっとしておいてあげたいの…(哀)」(新九郎)
「加賀屋の娘と…孤児の漁師じゃなぁ…(哀)」(孫九郎)
分別作業と加工作業を終え…
収穫を荷車に積み終えると…
「ま…まいったな…
収穫が多すぎて…荷車を動かすのは…一苦労じゃぞ…(困)」(はまや才助)
「困ったな…じゃ~無理をせず…収穫を2回に分けて運ぶしかないな…」(浜中の小太郎)
「ええ…2往復するのか??そりゃ~面倒なことじゃな…(嫌)」(山本勘助)
「じゃ~オレらも行こうか?」(小太郎)
「いいよ…小太郎は…女子供たちと共に…晩飯の仕度と…
新九郎さんたちをもてなしていてくれよ…」(はまや才助)
「…(ため息) 難儀じゃなぁ…(嫌)」(山本勘助)
それを聴いた新九郎は…
「おい…おまえたち…荷車を運ぶを手伝ってきなさい…」(新九郎)
新九郎は…「風魔小太郎」と「二曲輪猪助」にそう言った…。
「それはかまいませぬが…
我らが新九郎様たちのお側を離れることになりますが…
それで大丈夫でしょうか?」( 風魔小太郎)
「大丈夫だ…心配するな(笑)
それに…オレには…
黄班(猛虎:孫九郎のこと)もついておる(笑)」(新九郎)
「わかりました…お気をつけて…」(風魔小太郎)
そう言って…「風魔小太郎」と「二曲輪猪助」は…荷車を運ぶのを手伝いに行った…。
浜辺に残った…
浜中の小太郎と孤児たち…
新九郎と孫九郎…
そして「おゆり」と「静江」は…
晩飯の下ごしらえして料理の準備をはじめていた…
すると…
「なんだよ…もう晩飯のしたくかよ…?
ずいぶん早え~じゃないか~?(イヤな笑)」(唐島)
小太郎たちの前に…
「唐島」の悪童連中たちが…
また小太郎たちに…悪さをしおうと現れたのだ…
天文13年(1544年)…
小太郎…12歳の夏の日のことであった…
(つづく)