シーゲルの独り言☆パート2

こちらはパート2です~

相模の小太郎 第11話 知らぬこと 【シーゲルの歴史小説】

相模の小太郎 -蒼き疾風外伝- 第11話 知らぬこと 【シーゲルの歴史小説
 
 
 
※この物語はフィクションです。
 
 
 
↓↓


【この回のイメージ曲♪(その1)】
黄金の日日
http://www.youtube.com/watch?v=GN-ttLjTf9Y

 
↓↓
 
 
 
「ちきしょう…悔しいよ…(悔し涙)」(小太郎の仲間たち)
 
唐島甲四郎たちに…ひどい目にあわされた…
浜中の小太郎こと…さがみの「小太郎」たちは…
 
まだ日が沈まない夕刻の浜辺で…
皆で夕食をとりながら…甲四郎たちのことを涙ながらに愚痴っていた…
 
いまだかつて経験したことがなかった…
「いつ姫」の護衛5人の「ケンカ殺法」に…まんまとやられてしまった…
「新九郎(北条氏康)」と「孫九郎(北条綱成)」は…
 
「悔しくて…悔しくて…仕方がない…」と言った感じであったが…
「次は…絶対に負けない…」と言った自信も見え…気持ちが少し落ち着き始めている…
 
「加賀屋」の娘「静江」は…
はじめてのことでショックを受けたようだったが…今はもう落ち着いている…
「静江」が…加賀の国で経験した「つらく悲しい出来事」に比べれば…
これくらいのことは…微々たることであったからだ…
 
小太郎にとっても…いつものことであったが…
初恋の人「静江」をトラブルに巻き込み…
静江を守れなかった自分を悔いて…今日はいつも以上に落ち込んでいた…
 
「小太郎…このようなことが…いつも起こるのか??」(新九郎(北条氏康))
 
「ええ…甲四郎たちは…週に1~2回は…必ずやってきます…
 それにやられているのは私たちだけではありません…
 彼らはあちこちで…同じような悪さをしていますし…
 彼らと同じような悪さをしているのは…他にも大勢います…」(小太郎)
 
「えっ??(驚)」(新九郎と孫九郎)
 
「ちくしょう~年下の弱い者イジメばかりしやがって~なんてヤツラだ~(怒)」(孫九郎(北条綱成))
 
「馴れない砂浜の足場で…経験したことが無い型破りなケンカ殺法に…
 我らも…不意を突かれて…やられてしまったが…
 二度は通じぬ…次は必ず、我らが追い払ってやるぞ…(笑顔)」(新九郎)
 
「いえいえ…どうぞお構いなく…
 あの唐島家の息子連中は…小田原での名家の者です…
 係わり合いになれば…新九郎様たちにもご迷惑がかかります…
 ですから…どうかお構いなく…」(小太郎)
 
「しかし…子供同士のこととは言え…
 このようなことが…我が小田原で行なわれていたとは…(悩)」(新九郎)
 
「悪さをしているのは…子供だけじゃありませんよ…
 大人たちも…何かに理由をつけて…「税」ということで取り立てていますよ…」(小太郎)
 
「えっ??税を??(驚)」(新九郎と孫九郎)
 
「はい…新九郎様たちは…ご存知ありませぬので…??(不思議)」(小太郎)
 
「それはオカシイな?(悩)
 納税については…早雲公(北条早雲)の頃より…
 「四公六民(4割が税で6割が民の収入)」と…
 きちんと決められているハズだぞ??」(新九郎)
 
「ええ…そうですね…
 北条家に納める税は…
 「四公六民(4割が税で6割が民の収入)」と…
 きちんと定められていますが…
 他にも色々「税」があるんですよ…
 
 その地域や場所によって…
 その郷士や名士などが…
 場所代やら通行料やらと…
 「税」を決めて独自に取り立てているのですよ…
 
 そのため…北条家に納める税と別に…
 その地域や場所に納める税があって… 
 二重三重にも税がとられているのです…
 
 皆、それで苦労しているのですよ…
 新九郎様は…そのことを…ご存知ありませぬので??(不思議)」(小太郎)
 
「………(ショック)」(新九郎と孫九郎)
 
 
「新九郎」は…「知らぬこと」とは言え…
ショックのあまり…その場を立ち上がり…
新九郎(北条氏康)の配下…
「風魔の小太郎」をつれ…二人で波打ち際に行った…
波の音で、二人の話を他の者に聴かれないためだ…。
 
 
「(風魔の)小太郎…
 そのこと…存じていたか??」(新九郎)
 
「はい…もちろんでございます…
 下々に生きる者たちにとっては…
 そのようなことは…あたりまえのことでございます…」(風魔の小太郎)
 
「祖父「早雲公」から我が父「氏綱公」まで…
 民人のための…
 「四公六民(4割が税で6割が民の収入)」を続けてきたと言うのに…
 三代も続くと…
 我の知らぬところでは…あたりまえのように…
 このような不正が行なわれていたとはなぁ…(ショック)」(新九郎)
 
「……(黙)」(風魔の小太郎)
 
「どおりで…民の暮らしが…疲弊していると思った…(ショック)」(新九郎)
 
「……(黙)」(風魔の小太郎)
 
「小太郎…そちの言ったように…
 しのびの姿(自分の身分を隠し平民の姿になること)で…
 この眼で直に…民人の生活を見ることによって…
 本当の事を…知る事が出来た…
 
 それに…「浜中の小太郎」のような…
 良き民人の「親しい友人」も出来たしな…(笑)
 (風魔の)小太郎…礼を言うぞ…(笑)」(新九郎)
 
「はっ…(かすかに微笑む)」(風魔の小太郎)
 
 
「検地は…もっと範囲を広げ…
 主要な所では…必ず行なわねばならぬの…
 
 それから…税制の改革も行なわねばなるまい…
 
 祖父「早雲公」以来の…
 「四公六民(4割が税で6割が民の収入)」を守らねばならぬ…
 
 そのためには…
 税を一本化して…その他の税の取立てを認めぬことじゃ…」(新九郎)
 
「はっ…
 反対派の抵抗も激しいことでありましょうから…
 すぐにとは参りませぬが…
 まずは…御当代様(新九郎のこと)の…
 お身内を固め、お味方を強固にした上で…
 「小田原評定」に臨み…
 御当代様の税制改革を進めるのが宜しいかと思います…」(風魔の小太郎)
 
「うん…」(新九郎)
 
そう言って…海から浜辺に振り返ると…
浜では…(浜中の)小太郎たちの…明るい笑い声が聞こえてきた…
 
「さすがは…我が小田原の子供たちじゃ…
 これしきのことに…へこたれずに…もう元気に立ち直っているではないか…(笑)」(新九郎)
 
「はぃ…(かすかに微笑む)」(風魔の小太郎)
 
「さぁ~皆のところに戻ろう~(笑顔)」(新九郎)
 
 
二人に気付いた(浜中の)小太郎は…大声で…
 
「新九郎様~早く戻らねば~
 大食いの「孫九郎(北条綱成)」様に全て食べられて~
 料理が無くなってしまいますよ~(笑)」(小太郎)
 
「おお~それは困った~すぐにまいる~(笑)」(新九郎)
 
「ははは~(笑)」(小太郎たち)
 
天文13年(1544年)…
この夏で13歳になる…
小太郎12歳の夏の日のことであった…
 
 
 (つづく)