初恋another 第5話 小さな巨人 【シーゲルの恋愛青春小説】 もう一つの「初恋3」(共学高校編)
初恋another(初恋アナザー) 第5話 小さな巨人
【シーゲルの恋愛青春小説】 もう一つの「初恋3」(共学高校編)
※この物語はフィクションです。
(80年代前半を時代背景にした物語です)
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僕は…三浦信之…高校1年生…
「今年は~いける!絶対にいける!!
勝てないまでにも…絶対に善戦してやるぞ~!!」(ラグビー部キャプテン土屋巧)
「そうよ!頼むわよ~1年~!
全ては…あなたたち次第なんだからね~!!」(ラグビー部の女子マネージャー山口加代子)
「???」(僕ら1年生の新入部員)
明日の日曜日には…
隣町の「北浜高校」のラグビー部との…
「練習試合」が予定されている…
僕らの「ラグビー選手」としての…
初めての試合が行われようとしていた…。
「北浜高校(通称:キタ高)」は…
我が「東浜高校(通称:ヒガシ高)」とは…
同じ地域にあって…JRの駅を挟んで…
海側にあるのが…「ヒガシ高」で…
内陸の方にあるのが…「キタ高」であり…
同じ地域の「姉妹校」のような関係だったため…
毎年、「春の新人戦」の前には…
両校の各部活動の「交流戦」があり…
地域をあげての「ライバル対決」が行なわれている…
「交流戦」があるのは…
男子「野球部」、男子「サッカー部」、
男女「テニス部」、男女「バスケ部」、男女「バレー部」、
女子「バトミントン部」、男女「卓球部」、男女「陸上部」などに…
我ら…男子「ラグビー」部…
事情が違う…
相手の「キタ高」ラグビー部はというと…
都立の公立高校ながら…
毎年、1~2回戦は必ず突破して…
同じ都立の公立高校には…絶対に負けず…
私立の有名強豪チームと当たるまでは…絶対に負けないと言われた…
公立高校の中では…トップレベルの実力がある…中堅チームであった…
それだけに部員数も多い…
しかし…その中堅チーム「キタ高」ラグビー部に対して…
我が「ヒガシ高」ラグビー部はと言うと…
最低レベルの「弱小チーム」…
毎年、「全国大会の東京都予選」や「春の新人戦」では…
1回戦を勝てるか?勝てないか?の最低レベルの弱小チーム…
中堅チームの「キタ高」相手に…
一度も勝ったことが無い…
そのため…部員数も少なく…
部員15人をそろえるのがやっと言ったところだ…
「ヒガシ高」での「ラグビー部」の関心は薄く…
「ラグビーをやるなら…ヒガシ高ではなく…キタ高に行け…」
「ヒガシ高に行くなら…ラグビー部には入らず…野球部かサッカー部に入れ…」
と言った言葉もあるくらいの「弱小チーム」だったが…
僕ら「新入部員」は…何も知らなかった…
「特に…三浦信之…
明日の試合は…全てオマエにかかっている…」(ラグビー部キャプテン)
「???」(僕:三浦信之)
僕のポジションは…スクラムハーフ…
名前の由来は、スクラムと連携するハーフというところから。スクラムやモール、ラックに参加はしないが、そばにいて、かき出されたボールを持ってバックス陣にパスをすることを主とする役回りである。スタンドオフと同様に攻撃の起点となることから、フランスのラグビー哲学ではスクラムハーフが司令塔であるとされている。
地面にあるボールを拾うことと一連の動作でパスする(ダイビングパス等)という動作が特に多く、体が小さい選手が務めることが多い。密集地からの最初のパスを出すので、敏捷さと高度なパススキル、瞬間的な判断力、常に密集地に素早く駆けつけることが出来る持久力、体が小さいことを武器として大男たちの密集地のサイドを突破できるような俊敏性とステップワーク技術が要求される。
守備の際は相手スクラムハーフをマークし、密集地からパスが出たことを味方に伝えたり、相手FW陣のスクラムサイドの突破を防ぐことが要求される。体躯の大小にかかわりなく9人目のFWとして大男の突破を防がなくてはならないことから、強靭なメンタリティとフィジカルが求められる。
(wikipediaより)
「スクラムハーフ」」は…
「フォワード」の最後尾にあって…
モール、ラック、スクラムから…
「バックス」にボールを供給するポジションで…
「フォワード」と「バックス」をつなぐ役割の重要なポジションである…
皆が、楽しくラグビーの練習をしている間に…
僕だけは…キャプテンと女子マーネジャーと3人で…
「ダイビングパス」の練習をさせられていた…
女子マネージャーが左右に転がしたボールを…
僕が拾って…ジャンプしながら投げる…
これが「ダイビングパス」だが…
練習というより…まるでシゴキのような猛練習だった…
ボールを追って…右に走り…左に走り…
「ダイビングパス」を繰り返す…というハードな練習に加えて…
必要以上に…タックルの練習をさせられた…
全体練習の他は…
ほとんどが…僕のための「特別練習」で…
練習後にも…僕は居残りで「特別練習」をさせられていたし…
朝練習も…僕だけは「特別練習」をこなしていた…
僕は…入部してからずっと…こう言った「特別練習」をこなしてきた…
それを見ていた「マルちゃん」や「ヤス」などの僕の仲間たちが…
「ノブをイジメるな!」と勘違いして怒鳴り込んだくらいだった…
入部してスグに…
僕は…キャプテンと女子マネージャーに呼ばれ…
キャプテンは僕にこう言った…
「このスクラムハーフと言うポジションは…
ウチのラグビー部では…
オマエが適任で…オマエしか出来ないポジションだと思う…
このポジションをやってもらうためには…
今からスグ…人の何倍も努力をしてもらう必要があるが…
それに耐え、期待に答えてくれるのも…
オマエしかいないと思っている…」(キャプテン土屋巧)
「そうよ!フォワードに的確に指示を与え…
素早い行動と判断、
そして何よりも…
自分より体の大きなフォワード相手にも負けない勇気と闘争心が…
このポジションには必要なのよ…
このポジションを出来るのはノブ君…アナタしかいないわ…」(女子マネージャー山口加代子)
そう言って二人に…ほとんど口説かれるかのように…説得されて…
僕は…スクラムハーフというポジションをすることになったのだが…
本当に練習は厳しかった…
しかし…その甲斐もあって…
僕は入部して…たった10日くらいで…
ダイビングパスと…タックルには自信が持てるようになっていた…
そして試合前の…今日の全体練習では…
半分半分に分かれて…
試合形式のフォーメーション練習が行なわれた…
そこでみんなが見たものは…
入部して10日の初心者だとは思えない…
僕のスクラムハーフぶりだった…
楕円形のボールを…
瞬時に判断して的確にキャッチして…
華麗なダイビングパスで…
正確にスタンド(司令塔)のポジションの…キャプテンの胸元にパスを送った…
「おお…いつの間に…(驚)」(ヤス、マルちゃん、石川)
「ノブくん…やっぱカッコイイ~(嬉)」(西尾さん、シンちゃん、見学している僕のクラスメイト(富永優衣、井沢亜紀、オカマのマコちゃん))
「たしかに…(驚)」(マサコ)
すると今度は…相手のフォワードだった…
フランカーの「太っちょ山崎」が…
ボールを持ってサイドを突進してきた…
「太っちょ山崎」は僕と同じ新入部員ながら…
今のヒガシ高ラグビー部で一番の突進力がある選手だった…
僕は…素早く…「太っちょ山崎」の前に出て立ちはだかると…
「ノブさん~悪いけど本気で行くよ~!!」(太っちょ山崎)
そう言って…自信満々に突進してきた…
「ノブユキ~恐れるな~!!
練習を思い出して~恐れずに飛び込め~!!(叫ぶ)」(キャプテンと女子マネージャー)
「ノブ!!ぶちかませ~!!(叫ぶ)」(ヤス、マルちゃん、石川)
僕は…その「太っちょ山崎」の突進を恐れずに…
タックルに行った…
「ああ~ノブくん…(怖くて目をつむる)」(西尾さんとシンちゃん、見学している僕のクラスメイト(富永優衣、井沢亜紀、オカマのマコちゃん))
「あああ”っ~!!(驚)」(みんな)
次の瞬間、皆は驚きの声を上げた…
そこには…
僕にタックルされ…勢い余って…前のめりになって倒れた…
「太っちょ山崎」の姿があった…
倒れた「太っちょ山崎」は…
自分が倒されたことを理解出来ずに…
きょとんとして地面に倒れている…
「おおおお~ノブ~すげ~!!(驚き&叫ぶ)」(みんな)
「キャ~ノブくん~!!(喜び&叫ぶ)」(西尾さんとシンちゃん、見学していた僕のクラスメイト)
「よくやった~ノブ~!!!(喜び&叫び)」(キャプテンと女子マネージャー)
皆が僕に回りに集まって…大騒ぎをしていると…
そこに…「太っちょ山崎」が割って入ってきて…
「やっぱ…ノブさんは…すげえ…
さすがだよ…ノブさん…
まさに…「小さな巨人」だよ…(笑顔)」(太っちょ山崎)
「これで明日の「キタ高」との交流戦が…
本当に楽しみになってきたわ…(喜ぶ)」(女子マネージャー)
「よーし~明日、絶対に勝つぞ~!!(叫ぶ)」(キャプテン)
「おおおお~!!!(叫ぶ)」(みんな)
校舎の片隅で…
一人で練習を見ていた…
「水本カオリ」は…
「小さな巨人かぁ…(驚き)
アイツ…ホントにスゲーな…(笑顔)」(水本カオリ)
一人でそう…つぶやき…笑顔を見せた…
(つづく)
※この物語は…80年代前半ごろを時代背景にしたフィクションです!!