初恋another 第9話 貴公子 【シーゲルの恋愛青春小説】 もう一つの「初恋3」(共学高校編)
初恋another(初恋アナザー) 第9話 貴公子
【シーゲルの恋愛青春小説】 もう一つの「初恋3」(共学高校編)
※この物語はフィクションです。
(80年代前半を時代背景にした物語です)
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僕は…三浦信之…高校1年生…
キタ高(北浜高校)との交流戦…
我がヒガシ高(東浜高校)ラグビー試合は…
ヤスのトライ5点と、キャプテンがゴールキック2点…
35対7…の大差でキタ高に敗れたが…
我がヒガシ高ラグビー部にとっては…
このあとの「春の新人戦」に向けて…弾みと成る…
皆で勝ち取った…嬉しい「初トライ」となった…
翌日の月曜日…
校内は…交流戦の話題で持ちきりだったが…
交流戦の話題と言っても…
それは…人気がある野球部やサッカー部などの試合の話題であって…
観客のほとんどいなかったラグビー部の話題では無い…
しかし…僕のクラスでは…
そのほとんどいなかったラグビー部の観客が…
僕のクラスの友人だったので…
ラグビー部の試合の話題で盛り上がっていた…
「試合は…負けちゃったけど…
ノブくんたちラグビー部は…ホントに良くガンバったと思うよ~」(僕のクラスメイト:富永優衣)
「うんうん~良くガンバった~」(僕のクラスメイト:井沢亜紀)
「ありがとう~」(僕:三浦信之)
「そーよ~なーんて言ったって~
あの目が覚めるような…ノブくんのタックルで…
チャンスが生まれて~得点が決まったようなもんよ~
も~興奮しちゃって~昨夜は眠れなかったわ~」(僕のクラスメイト:オカマのマコちゃん)
「いや~僕だけじゃないよ~
キャプテンや、丸ちゃん、石川、そしてヤス…
チームみんなのお陰だよ~」(僕)
「そうだろ~オレ~カッコ良かっただろ~」(ヤス)
「うん!ヤスくん~カッコイイ~!!!」(ヤスの取り巻きの女の子5人)
「ははははは~」(ヤス)
「(小声で)
あれ…??ヤスくんの取り巻きって…2人だったのに…
いつの間にか…5人になってる…??」(富永優衣)
「うん…??」(井沢亜紀)
「やーね~あの子たち…
たしかにヤスくんはカッコ良かったけど…
あの取り巻きの子たちがヤスくんの側にいて…
ピーピーキャーキャー騒いでいると…
なーんか…魅力が半減するわよね~」(オカマのマコちゃん)
「そうそう~ホントよね~」(富永優衣)
ヤスが取り巻きの女の子たちと騒いでいて…
それを横目で見ながらコソコソと話し込むマコちゃんたち…
そんなクラスメイトたちに微笑みながら…
僕は…僕の後ろの席で…一人でつまんなそうな顔をして…そっぽを向いている…
「水本カオリ」に…
「カオリ…
昨日は…試合見に来てくれたんだね…(笑顔)」(僕)
「えっ…!?(驚く)」(水本カオリ)
「他のみんなは気付いて無かったみたいだけど…w
カオリは…いつも同じ場所で…僕らの練習を見てくれているから…
僕は…スグにわかったよ…(笑顔)」(僕)
カオリは…ちょっとわかりにくい場所なのだが…
いつも体育館の外階段の踊り場に座って…僕らの練習を眺めている…
僕は…相手のBKのポジション確認をして…広くグランドを見渡している時…
その場所にいるカオリの姿が目に入ったのだ…
「ひ…ヒマだったし…(照れる&動揺している)
お…オマエらなんかにゃ…興味は無いけど…
ラグビーは…見てみたいって思ったからさ…(照れる&動揺)」(水本カオリ)
「そうなんだ…(笑顔)」(僕)
「そ…そうだよ…(照れる&動揺)」(カオリ)
「まっ~とにかく~見に来てくれて嬉しいよ~(笑顔)」(僕)
「お…おう…(照れる)」(カオリ)
いつもは…クールビューティー「カオリ」に…じっと見つめられて…
僕の方が…動揺しているのに…
今日は「カオリ」が動揺していて…いつもと立場が逆になっている…
そして放課後…
今日は試合のあとの月曜日ということで…練習は休み…
僕はマコちゃんたちに誘われて…
富永優衣の念願だった…
駅前のハンバーガー屋さんに行く予定になっているのだが…
あいにく僕らの班は…教室の掃除当番…
富永優衣とマコちゃんたちは…掃除の後の…最後の机を並べる作業を担当して…もう作業終わったが…
僕とカオリの二人が…掃除用具の洗い物と片づけをしている…
「じゃ~ノブくん~下で(1階の玄関で)待ってるからね~」(富永優衣)
「ああ~スグに行くよ~」(僕)
富永優衣たちが…そう言って…教室を出ていったあと…
僕とカオリは…洗い終わった雑巾を干したり、モップを片付けた…
「さぁ~終わったから~帰ろうか?」(僕)
「ああ~(そっけなく)」(カオリ)
僕は心の中で…こう思った…
(カオリは…そっけないヤツだけど…決して悪いヤツじゃない…
それに…けっこう美少女なのに…何で?友達がいないんだろう…??
ラグビーの練習を見学していたりして…
カオリはきっと…僕らの仲間に入りたいんだな…)(僕の心の中)
僕の遊び友達は…
昔からこういう一人ぼっちの寂しがり屋の「不器用なタイプ」が多かったので…
カオリの気持ちは…なんとなくわかっている…
「なぁ~カオリ~良かったらこのあと~一緒にハンバーガー屋に行かないか?」(僕)
「ああ? い…いいよ…!?」(カオリ)
カオリは…「いいよ(OK)」とも…「いいよ(NO)」ともとれるような…
微妙な返事を僕に返した…(笑)
「わかった…(笑顔)」(僕)
僕はカオリが機嫌を損ねないように…
あとは何も聞かずに…
「カオリが一緒に行くるもんだ」と…そう理解して一緒に行動をとった…
「な…なあ~」(カオリ)
「何?(笑顔)」(僕)
黙ってついてきたカオリが…ようやくクチを開くと…
「お…オマエ…
昨日は…ナイス…タックル…だった…よ…(照れながら)」(カオリ)
(いつものカオリは…こんなんじゃないのになぁ…(笑))(僕の心の中)
って…思いながら…
「ありがとう~(笑顔)」(僕)
って…素直に返事を返すと…
「お…おう~(照れる)」(カオリ)
って…(笑)
そうやって…いつもと正反対の…どこかぎこちない感じで…
二人で…校舎の廊下を歩いて…階段を下りようとした時…
「カオリ~!!(叫ぶ)」(男子生徒の声)
と…男子生徒の声がして…振り向くと…
僕らの方に…一人の男子生徒が走って現れた…
「カオリ~!!(叫ぶ)」(男子生徒の声)
「と…トシヤ…!!!(驚く)」(カオリ)
少し髪の長い…今流行の男性アイドルみたいな髪型をした…
ちょっとカッコイイ感じの…
「トシヤ」という男子生徒が…僕ら二人の前に現れた…
「カオリ~何で昨日は~オレの試合を見に来てくれなかったんだよ~??(叫)」(トシヤ)
「うるせーな~そんなの~アタシの勝手だろ~(怒)」(カオリ)
一瞬で、いつものカオリに戻った…(笑)
「カオリ~!!??(叫)」(トシヤ)
「おい~行こうぜ~」(カオリ)
カオリはそう言って…僕の左腕を後ろからつかんで…
二人で腕組みをしたようなかっこで歩き出した…
それを見た「トシヤ」が…
僕とカオリが組んでいる腕を力任せにつかんだ…
「何すんのよ~!!(怒)」(カオリ)
カオリは怒って…トシヤの腕をはらった…
腕をはらわれた「トシヤ」は…
ものすごい形相になって…僕の方に振り向いた…
「何だ!オマエは~!!(叫ぶ)」(トシヤ)
「えっ!!!(驚く)」(僕)
トシヤは…そう言って…僕を睨み付けた…
あとで…わかったことだが…
このトシヤという男は…
カオリと同じ…「豊崎中学」出身で…
僕らと同じヒガシ高、1年の同級生で…
サッカー部に所属する…
「高城俊哉(たかしろ・としや)」だった…
トシヤは…豊崎中学時代…
「豊崎中の貴公子」…と呼ばれたほどの…
サッカーの上手い生徒で…
昨日のの交流戦でも…
入部して10日過ぎたばかりの1年生だというのに…
レギュラーで試合に出たほどの実力者だった…
「何だ~!オマエ~!!(怒)」(トシヤ)
「……!!!(困った)」(僕)
これが…「貴公子」…「トシヤ」との出会いだった…
(つづく)