シーゲルの独り言☆パート2

こちらはパート2です~

相模の小太郎 第13話 旅に 【シーゲルの歴史小説】

相模の小太郎 -蒼き疾風外伝- 第13話 旅に 【シーゲルの歴史小説
 
 
 
※この物語はフィクションです。
 
 
 
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【この回のイメージ曲♪(その1)】
黄金の日日
http://www.youtube.com/watch?v=GN-ttLjTf9Y

 
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「あれが…あの加賀屋の旦那様…??
 そして…あれが…新しい加賀屋の旦那様の…「静江」さん…??
 二人とも…人が変わってしまったみたいだね…(不思議)」(おゆり)
 
「ああ…ホントだね…(笑)」(浜中の小太郎)
 
 
加賀屋の主である「加賀屋六郎兵衛」は…
浜中の小太郎こと…さがみの「小太郎」に…
「娘(静江)の力になってくれ」と…伝えたあと…
本当に「加賀屋の主」から身を引いた…
 
表向き、「加賀屋の主」は…いまだに「六郎兵衛」が主であるが…
加賀屋の従業員を集め…娘「静江」を「加賀屋の主」の代行として…全ての権限を代行させ…
将来的には、「加賀屋の後継者は「静江」である」と言うことを正式に公表したのである…
 
「静江」の商才は…六郎兵衛をはじめ、加賀屋の皆も認めていたことであるが…
加賀屋の政略結婚のため…どこかの豪商や名家の「婿」を向かえるであろう…と誰もが思ってだけに…
娘「静江」を正式に加賀屋の後継者としたことに皆驚きを隠せなかった…。
 
「静江」の後見役にまわった「六郎兵衛」は…
毎朝の報告会議に…時々、顔を出すくらいで…
加賀屋の運営の全てを「静江」にまかせて…
自分は…隠居を決め込み…
庭の植木の手入れをしたり、裏山や海岸に出かけて…隠居生活を楽しんでいる…
 
 
「加賀の国で…手広く商いをしていた頃のわしは…
 まるで…金の亡者のようだった…(苦笑)」(加賀屋六郎兵衛)
 
といって…人の良さそうな…さわやかな笑顔で…自らを振り返る「六郎兵衛」は…
今は粗末な野良着を着て…貧しい農民のような生活を楽しんでいる…
先日までの「加賀屋の主」という威厳に満ちた貫禄は…影を潜めてしまった…。
 
 
逆に…加賀屋の主を代行し、正式に後継者となった「静江」は…
ついこの前までは…小太郎らと変わらぬ年頃の美少女であったのだが…
今は「加賀屋の新しい旦那様」として…貫禄と威厳が出てきている…
大人の男性の従業員の中に混じって…てきぱきと部下に指示を与えるその姿は…
堂堂たる「加賀屋の主」そのものであって…
 
ついこの前まで…海を眺めながら…悲しみに暮れていた…
あの「静江」の姿は無い…
 
 
その生まれ変わった…二人の姿を町で見かけて…
 
「人が変わってしまったようだ…」と…
 
「おゆり」が小太郎につぶやいたのだ…。
 
 
「小太郎さん~おゆりさん~(笑顔)」(加賀屋静江)
 
小太郎とおゆりに気付いた静江が…笑顔で声をかけてきた…。
その笑顔は…「加賀屋の主」としての顔では無く…
いつも通りの「静江」の優しい笑顔だった…。
 
「小太郎さん、お話があります…少し宜しいですか?(笑顔)」(静江)
 
「ええ~どうぞ~(笑顔)」(小太郎)
 
「今度、韮山(伊豆)と山中(伊豆)に商用で参るのですが…
 小太郎さんもご一緒していただけませんか?(笑顔)」(静江)
 
「ええ…別にかまいませんが…
 商用でしたら…加賀屋の方とご一緒した方が宜しいのでは…?」(小太郎)
 
「小太郎さん…私の父との約束を…もうお忘れになったのですか?(笑顔)」(静江)
 
「いえいえ…そのようなことは…」(小太郎)
 
 
「商談とはいえ…まだあまり打ち解けていな者と旅に出るのは…正直、不安なのです…
 その点、小太郎さんたちなら…安心して旅に出れると思いましたので…
 どうか、ご一緒していただけませんか?」(静江)
 
「ああ~そういうことでしたら~ぜひお供させていただきます~(笑顔)」(小太郎)
 
「そうですか~ありがとうございます~助かります~(笑顔)」(静江)
 
 
こうして…小太郎と静江は…
伊豆、韮山と山中まで…加賀屋の商用の旅に出ることになった…
 
小太郎らが普段している…
「漁の仕事」や「加賀屋」、「はまや」などの手伝い、
「鈴木家」の役職の手伝いや…「安本家」の農作業などは…
いつも通り…
小一郎や小春たちなどの…
小太郎たちの弟たち(孤児たち)がやってくれるので心配は無い。
 
 
旅のメンバーは…
 
小太郎らからは…
小太郎、山本勘助、鈴木甚兵衛、安本源三郎、はまや才助、おゆり、
それから用心のために、
風間の矢五(少年忍び)と風間の市(少女忍び)にも同行してもらうことにした…。
 
加賀屋からは…
静江、侍女の「お糸」、護衛役の「正五郎」、
他に数人の従業員を連れている。
 
伊豆、韮山と山中は…小田原から近い…隣国とは言え…
はじめての旅に…小太郎たちの心は弾んだ…。
 
そして…小太郎は…
静江と共に旅に出てることが…何よりも嬉しかった…。
 
 
天文13年(1544年)…
この夏で13歳になる…
小太郎…12歳の夏の日のことであった…
 
 
(つづく)