シーゲルの独り言☆パート2

こちらはパート2です~

相模の小太郎 第14話 初めての… 【シーゲルの歴史小説】

相模の小太郎 -蒼き疾風外伝- 第14話 初めての… 【シーゲルの歴史小説
 
 
 
※この物語はフィクションです。
 
 
 
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【この回のイメージ曲♪(その1)】
黄金の日日
http://www.youtube.com/watch?v=GN-ttLjTf9Y

 
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「もう足が痛くて…一歩も動けないよ…(涙)」(安本源三郎)
 
「相模の小太郎」こと「浜中の小太郎」たちは…
 
加賀屋「静江」の商団と共に…
韮山(伊豆)と山中(伊豆)に向けて…初めての旅に出た…
 
生まれてから…一度も小田原を離れたことがない…小太郎たちにとっては…
小田原から東海道を上り…箱根や足柄山中の…険しい山道に…
足腰が悲鳴を上げ始めていたのだ…
 
「ほら…見てくれよ…もう足のマメが破れて…その下に血豆が出来てるよ…(涙)」(安本源三郎)
 
「まったく…男のくせに…血豆ができたくらいで…情けないねぇ…(苦笑)」(おゆり)
 
 
「おゆり…そういうけど…
 オレたちは普段…漁師の仕事で舟に乗っていることが多いから…
 こんなに長い時間歩き続けるなんてことは…普段の生活じゃほとんど無いんだぜ?
 それに…ここは普通の大人でも根を上げる…
 箱根、足柄の…険しい山道なんだぜ…??」(鈴木甚兵衛)
 
「そう…??
 ワタシは…これくらい…別に何ともないわよ…??(不思議)」(おゆり)
 
「ええ??(驚)
 オマエは…何ともないのか??(驚)」(安本源三郎と鈴木甚兵衛)
 
「うん…別に…(不思議)」(おゆり)
 
「おゆりは…大した女子じゃな~(笑)」(山本勘助
 
 
おゆりは…特に登山や旅をした経験は無いのだが…
険しい山道を平然とした顔で歩き…先頭になって歩いている…
持って生まれた…強い足腰なのであろう…
 
おゆりは…歩きながら…山道から見える…
美しい風景に目を奪われるくらい…体力に余裕があるのだが…
 
小太郎たちの漁師仲間は…皆、体力の限界で…足腰が悲鳴を上げている…
小太郎もクチには出さぬが…もういっぱいいっぱいの状態だった…
 
 
「しかし困りましたな…予定よりだいぶ遅れてしまっている…
 お嬢様…いかが致しますか…??(困)」(はまや才助)
 
はまや才助は…今回の旅の予定(スケジュール)を組んでいる…
 
 
「そうですね…小太郎さんたちは皆、疲れもたまっていることですし…
 無理をせず…どこかこのあたりで…野宿をする場所を探しましょう…」(加賀屋静江)
 
「このあたりと…申されましても…
 この険しい山道では…焚き火をする場所とてありませぬぞ…(困)
 多少無理をしてでも…予定の場所へ参りましょうぞ…(困)」(はまや才助)
 
「オレは!もう!一歩も!ここを!動かないぞ~!!(怒)」(安本源三郎)
 
 
「困りましたねぇ…(困)」(加賀屋静江)
 
「うーん…(困)」(小太郎たち)
 
 
すると…
 
「ふふふ…(笑)」(少女の笑い声)
 
どこからか…少女がクスクスと笑う声がしたかと思うと…
 
 
小太郎たちの目の前に…
空から…降って来たかのように…
 二人の少年少女が突然現れた…
 
風魔党の下働きをしている「忍び(忍者)」の子で…
「風間の矢五」と…「風間の市」だった…
 
「おお~矢五に~市~!(喜)」(小太郎たち)
 
二人は…商団の一行に…着いたり、離れたりして…
行く先に危険が無いか…警護してくれているのだ…
 
 
「何だ…そんなことなら…このワタシに任せなよ…(笑)」(少女忍び:風間の市)
 
「………(笑顔)」(少年忍び:風間の矢五)
 
極端な無口の「風間の矢五」は…
何もしゃべらず…ニコニコと人懐っこい笑顔をみせている…
 
 
「市~!どこか良いところがあるのか?(笑顔)」(浜中の小太郎)
 
「少し歩いたところに…小さな「いで湯(温泉)」があるよ…(笑顔)」(風間の市)
 
「出湯(温泉)~!(喜)」(山本勘助
 
 
「ああ。今夜はそこでゆるりと休むが良い(笑顔)」(風間の市)
 
「やった~!!(喜)」(小太郎たち)
 
 
「さすがだな市~でも良くそんなことまで知っているな~」(浜中の小太郎)
 
「ああ~韮山や山中あたりなら…年中、使いで往復しているからな…(笑)」(風間の市)
 
 
「出湯があるのだから…温泉宿はあるのか?」(はまや才助)
 
「ふっ!そんな結構な場所じゃないよ(笑)
 たまに山に住む動物が…つかりに来るような…
 山奥の…誰も知らない…小さな出湯だよ…(笑)」(風間の市)
 
「そ…そんな場所で…大丈夫なのか??」(鈴木甚兵衛)
 
「山賊に襲われるかも…知れないのでは…??(心配)」(安本源三郎)
 
「山賊??(笑)
 小田原から山中、韮山までのこの東海道は…
 風魔党(忍び)の者がお役目で…いつも目を光らせているのだぞ…
 山賊などいるわけがない…(笑)」(風間の市)
 
「じゃ~熊や狼に襲われるのでは…??(心配)」 (安本源三郎)
 
「ふっ…(苦笑)
 源三郎は…熊や狼に襲われて…食われてしまえ~(笑)」(風間の市)
 
「ひ…ひどい…(涙)」(安本源三郎)
 
「ははははは~(笑)」(みんな)
 
 
そして…加賀屋の一行と小太郎たちは…
「風間の市」の案内で…
東海道からそれて山中に入り…
草木を掻き分けて…道無き道を歩いた…
 
すると深い山中で見逃してしまいそうなほど…小さな沢に出た…
足元にちょろちょろと流れる小川とは呼べない…浅くて小さい水の流れにそって…崖下に入ると…
その小さな水の流れの先に…人一人分の背丈くらいの窪み出来ていた…
良く見ると…その窪みから…白い湯気が立っているのが見えた…
 
「あっ!出湯(温泉)だ!!(喜)」(小太郎たち)
 
「そうよ!ちょっと待ってね~(笑顔)」(風間の市)
 
風間の市と矢五は…側にあった石を使って水の流れを堰き止めると…
その窪みに出湯が溜まって…小さな湯船が出来上がった…
 
「おお~湯加減もちょうど良い~(嬉)
 もう少しお湯が溜まるのを待ってから…4~5人ずつ入るが良い。
 
 今、来たところの…沢の入り口に…
 火をおこして…皆で野宿するののに…丁度良い広さの場所があっただろ?
 皆はそこに荷物を下して…野宿の仕度をするが良い…(笑顔)」(風間の市)
 
「やった~!!(喜)」(小太郎たち)
 
野宿の準備が終わるころになると…もう日が暮れ始めていた…
 
「さあ~お湯も溜まったし…4~5人づつ順番に…湯に入るが良い…(笑顔)」(風間の市)
 
 
「では…お嬢様…
 まずはお嬢様からお先に…湯にお入り下さい…」(はまや才助)
 
「せっかくの出湯なのに…ワタシ一人で入るのは…もったいないですね…
 それに…ワタシ一人で入っても…つまらないわ…(笑)」(加賀屋静江)
 
「ならば…女性陣…
 おゆりと…市…それから…「お糸(静江の侍女)」の4人で…お入り下され…」(はまや才助)
 
 
「わたくしは…けっこうでございます…」(お糸)
 
「は…?なぜで…ございますか?」(はまや才助)
 
「わたくしは…出湯(温泉)が苦手でございます…
 熱い湯に入ると…すぐに…のぼせてしまうのです…
 それに…わたくしは…皆で入るのが…恥ずかしいのでございます…
 それに…わたくしのようなものが…
 お嬢様とご一緒するなど…とんでもないことにございます…(怒)」(おいと)
 
 
「(小声で)あーまた「おいと」どのの…
 キーキーキャーキャーの小言が始まったぞ…(イヤな顔)」(安本源三郎)
 
愚痴っぽく…怒りっぽい性格の…「お糸」は…
こんな感じで…話出すと…ヒステリーのようになって止まらなくなる…
 
 
「「お糸」どの…わかりました…わかりました…(困)
 では…お嬢様…
 おゆりと…市とで…3人でお入り下さい…」(はまや才助)
 
「あら…それじゃ…後につかえている皆に…悪いわね…
 
 なら…小太郎さんに…勘助さん…ご一緒しましょう…(笑顔)」(加賀屋静江)
 
「えっ~!!(驚)」(小太郎たち)
 
 
「お…お嬢様…
 私と勘助様が…お嬢様とご一緒にですか…??(驚)」(小太郎)
 
「………(驚)」(勘助)
 
「お嬢様~!なりませぬ~!(驚&怒)」(お糸)
 
 
「あら~別に良いではありませんか~(笑)
 わたくしは別にかまいませんよ~(笑)」(静江)
 
「お…お嬢様…(困)」(お糸)
 
「ワタシも…小太郎さんとなら…別にかまいませんよ~(笑顔)」(おゆり)
 
「アタシも…(笑) 
 そんな事など…気にしたことも無い…(苦笑)」(少女忍び:風間の市)
 
 
「さあ~さあ~早くしなければ~
 後につかえているものたちが湯に入るのが…
 どんどん遅くなって…日が暮れてしまいますよ~
 小太郎さん~一緒に入りましょう~(笑顔)」(静江)
 
そう言って…静江が…無邪気な笑顔をみせながら…
小太郎と勘助を…出湯に誘うので…
小太郎と勘助は…静江らと一緒に出湯に入ることにした…。
 
湯につかること自体が少なかった当時は…
もちろん、男湯、女湯という概念が無く…混浴があたりまえの時代だったため…
 
商家で育ち、旅に出る経験のある「静江」や「おゆり」には…
混浴は経験済みのことなのかも知れないが…
 
風呂に入ることさえほとんど無い…
貧しい漁師の家で育った…少年の小太郎にとっては…
入浴といえば…海や川で体を洗うくらいで…
 
もちろん、女性との混浴は初めてのことだったから…
女性の裸など…見たこともないし…
もし女性と風呂に入っていたとしたら…その女性は…母以外の女性は考えられなかった…
 
ましては…小太郎と同じ年代の「若い女子」たちで…
その「若い女子」の中には…
小太郎の憧れで…初恋の人である「静江」がいるのだ…
 
その「静江」と…一緒に湯に入るとは…
考えただけで…すでに湯につかっているかのような…
真っ赤な顔になってしまう…小太郎だった…
 
 
「じゃ~先に入ってるわよ~
 あとがつかえているから…呼んだら…すぐに入ってきてね…(笑顔)」(静江)
 
「ふふふ~待ってるわね~(笑顔)」(おゆり)
 
 
「………(驚)」(小太郎と勘助)
 
「………(羨ましい)」(安本源三郎、鈴木甚兵衛、はまや才助)
 
 
天文13年(1544年)…
この夏で13歳になる…小太郎…12歳…
初めての…旅先での…夏の日のことであった…
 
 
(つづく)