相模の小太郎 第16話 加賀屋の主 【シーゲルの歴史小説】
相模の小太郎 -蒼き疾風外伝- 第16話 加賀屋の主 【シーゲルの歴史小説】
※この物語はフィクションです。
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「ここが…山中ですか…??
何にも…無いじゃないですか…??(驚)」(小太郎ら)
「 加賀屋静江」の商団と…
「相模の小太郎」こと「浜中(はまなか)の小太郎」らの一行は…
小田原から東海道を…
箱根湯本、芦ノ湖と進み、箱根峠を越えると…
最初の目的地である…山中(伊豆)へと到着した…
山中は…
この時の山中は…
箱根山西麓にある…街道沿いの小さな山里に過ぎなかった…
山里と言っても…
山のふもとに数件の小屋があるだけで…
まともな屋敷や、旅籠、店舗などは一つも無い…
その名の通り…「山中」の土地だった…
商団を率いる「加賀屋静江」は…
この場所に野宿の準備をさせると…
小太郎ら数人だけを連れて…
この場所の周辺を…くまなく歩き回って周辺調査を始めた…
「(小声で)小太郎…
お嬢様は…このような場所で…何をお探しなんだ??(謎)」(はまや才助)
「(小声で)こんな何も無い…山の中を…
登ったり…下りたり…行ったり来たりばかりで…(愚痴る)
見晴らしの良い場所を探して…旅籠でも建てつもりなのか…??(愚痴る)」(安本源三郎)
「さぁ??(笑)」(浜中の小太郎)
「(小声で)お嬢様もそうだが…
もう一人…変わり者が…あそこにいるぜ…??(不思議)」(鈴木甚兵衛)
「鈴木甚兵衛」が指差した方向を見ると…
「静江」と一緒になってあちこち見渡す…
「山本勘助」の姿があった…
勘助は…周辺の状況を…
絵地図にして細かく説明まで書き入れている…
それを見た「安本源三郎」と「はまや才助」が…
興味津々で…「山本勘助」の側に走り寄り…
「勘助様…いったい何をお探しで…??
出湯(温泉)の宿地でも…探しているのですか??(謎)」(安本源三郎)
「いやいや~金脈でも探しているのでしょう??(冗談と願望で)」(はまや才助)
「出湯(温泉)…??金脈…???(驚)
あっははははは~(爆笑)」(山本勘助)
「ふふふ…(笑)」(加賀屋静江)
「お嬢様…勘助様…いったい何をお探しなので…??」(小太郎)
「うん…ワシの場合はの…
まぁ~「軍師」を志している者としての興味から…
この場所を…眺めているのじゃが…(笑)
どうやら…お嬢様も…同じお考えのようですな…(笑)」(山本勘助)
「軍師としての興味…???」(小太郎たち)
「ふふふ…(笑)
では、勘助様…
今度は…あの山の頂上までご一緒しませんか…??(笑)」(静江)
「ええ~もちろん~(喜)
あの山の頂上まで登れば…
三嶋方面はもちろん…駿河の海まで見渡せるやも知れませぬな~(喜)」(勘助)
「(小声で)ええ~また登るのか~??(愚痴る)」(安本源三郎)
小太郎らには…静江と勘助の行動が…まったく理解出来ず…
単なる…良い風景を求めての「山歩きを楽しんでいる…」としか思えなかったのだが…
この「山中」の地で…一番高い山に登ると…
そこからは…山のふもとから広がる三嶋方面の平野に…
駿河湾まで見渡せる場所だった…
西北の方角には…富士の山も見えた…
「これは…良い眺めですね…(感動)
この景色が見たくて…この場所に来たのですか??」(小太郎)
「小太郎…この山中はの…
小田原へ向かう…箱根峠への入り口にあって…
これが…何を意味するのか?わかるか??小太郎??」(勘助)
「小田原へ向かう…箱根峠への入り口にあって…
駿河へ向かう…先を…見渡せる高みの場所…??(謎)」(小太郎)
「………???」(小太郎たち)
小太郎らには…何のことか…さっぱりわからなかったが…
鎌倉武士の家柄の子である…鈴木甚兵衛だけが…
「もしや…この地は…
小田原(相模・北条家)と…駿河(今川家)との間の…
戦略上の…重要な場所…ということになるのですか…??」(鈴木甚兵衛)
「そうじゃ…」(勘助)
「勘助様…それはオカシイ…??
駿河・今川家と…相模・北条家の間には…長く同盟が結ばれていて…
「そのとおりじゃ…」(勘助)
「………??(謎)」(小太郎たち)
「………(黙)」(勘助)
「ま…まさか……??!!(驚き)
ち…近い将来…
今川と北条の同盟が…手切れとなって…
合戦になるとでも言うのですか…??!!(驚)」(甚兵衛)
「えええ~!!??(驚)」(小太郎たち)
「それは…ワシにも…わからんが…
もし…本当に北条と今川との間に…合戦が起こった時…
この山中は…戦略上…大変重要な場所となるじゃろうて…(緊張)」(勘助)
「お嬢様…
どうなのですか…??(緊張)」(小太郎)
「私にも…確かなことは…わかりませぬ…
ですが…その兆候があるのは事実です…
そうなる前に…
私たちは…この何もない山里に…支店を置き…
多くの人を雇って…多くの物資を運び…この地を開拓せねばなりませぬ…
もちろん…私たちがこの地に…城や砦を築くわけではありませぬが…
いざとなって…北条様がこの地に…急ぎ、城や砦を築くとなると…
前もって、それなりの準備が必要になるのです…」(静江)
「さすが…お嬢様…
商いをわかっていらしゃる…(笑)」(はまや才助)
「才助さん…(少し怒ったような真剣な表情になって)
私は…合戦で…金儲けをするために…
このようなことをしているのではありませぬ…(真剣)
合戦の怖さを…知っているからこそ…
合戦にならぬように…先手を打っているのです…(真剣&涙目)
それを…私たちがやらねば…
私たちの小田原が…
合戦に巻き込まれるやも知れぬからなのですよ…(真剣&涙目)」(静江)
「は…はい…(困&汗)」(才助)
「お嬢様…さすがだ…(感心する)」(勘助)
「ええ…さすがです…お嬢様…(感心する)」(小太郎たち)
「でも…本当に…
北条家と今川家の間に…合戦が起こるのでしょうか…??(心配)」(小太郎)
「起こらぬように…今から先手を打つのです…(真剣)」(静江)
「はい…(真剣)」(小太郎)
「はい…(うなずく)」(みんな)
静江は…小田原に来たばかりの時は…
加賀の国での合戦の「心の傷」で…
一人で海を眺めては…
悲しみ暮れてばかりいた…あの静江が…
その「心の傷」を乗り越えて…
立派な「加賀屋の主」へと変わりつつある…
小太郎は…そんな静江を…
助け、支えていきたいと思うと同時に…
たまらなく愛おしく思えて仕方がない…小太郎であった…
天文13年(1544年)…
この夏で13歳になる…小太郎…12歳…
伊豆・山中での…夏の日のことであった…
(つづく)