相模の小太郎 第4話 立志… 【シーゲルの歴史小説】
相模の小太郎 -蒼き疾風外伝- 第4話 立志… 【シーゲルの歴史小説】
※この物語はフィクションです。
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「おい!小太郎…久しぶりだな…(ヤな笑)」(唐島甲四郎)
「か…唐島…甲四郎…(驚&嫌)」(小太郎たち)
小太郎たちが、いつものように漁の後の浜での作業をしていると…
唐島甲四郎が、
坂田馬之助らの数人の仲間を引き連れて…
意地悪をしに…現れたのだ…。
唐島甲四郎は…
北条家家臣「唐島家」の跡取り息子。
「唐島」家は、小太郎が住んでいる「浜中」地区の隣にある
「南浜」地区の水軍を束ねる長。
長の息子であることを良いことに、何かと小太郎たちに意地悪をする。
「坂田馬之助」は…
「唐島甲四郎」とつるんで、小太郎たちに意地悪をする
「唐島家」の御用商人「坂田屋」の息子。
「おお~今日も大漁じゃね~か…ご苦労~ご苦労~(ヤな笑)」(甲四郎)
「………(緊張)」(小太郎ら)
「おお!!鯛があるじゃね~か…(驚)
ひー、ふー、みー、よー、いつ…
大きな鯛が…5尾も…(ヤな笑)
おい!馬之助!!
せっかくだから…この鯛を頂いていこう…(ヤな笑)」(甲四郎)
「ヘイ~(ヤな笑)」(坂田馬之助)
「ちょ…ちょっと待てよ!!
なんで…オマエらなんかに…
この鯛を差し出さなきゃならないんだ!!(怒)」(小太郎)
「チッ!チッ!チッ!(舌打ちの音)
バカだな~オメ~は…(ヤな笑)
オレ様は…北条家一の重臣…
松田様の御家来衆の中で…筆頭格の…
「唐島家」の跡取り息子様だぞ…(ヤな笑)」(甲四郎)
「それがどうした!!(怒)」(安本源三郎)
「そのオレ様に…
日頃から礼を尽くすのが…
オメーのような名の無い漁師の…
出世術っていうもんじゃね~のかい??(ヤな笑)」(甲四郎)
「ば…バカを言うな!!
この浜中地域の代官職で…納税を管理しているのは…
我が「鈴木家」が代官で…
納税に関する御用商は…
「はまや(才助の店)」が受け持っているのだぞ!!」(鈴木甚兵衛)
「その通りよ!!(怒)」(おゆり)
「そ…その通りだ…(怖…おゆりの後ろに隠れながら…)」(はまや才助)
「バカだな~オメーら…(ヤな笑)
これは…税の取立てじゃねーんだ…
オレたち…子供同士の…
ちょっとした挨拶みてーなもんじゃねーか…(ヤな笑)」(甲四郎)
「オマエら…
こんな盗賊まがいな強請みたいなことしやがって…
北条の一門の…風上にも置けぬヤツだ…
恥を知れ!恥を!(怒)」(小太郎)
「何が…北条一門だ…(ヤな笑)
無礼なヤツめ…(怒)
単なる…漁師のオメーが…
オレ様のような…
本当の「北条の一門」の者に対して…
ほざく言葉じゃねーだろ!!(怒)
おい!やっちまえ!!(叫)」(甲四郎)
「ヘイ!」(甲四郎の仲間たち)
甲四郎の合図を聞いて…
甲四郎の仲間たちは…一斉に暴れだした…。
甲四郎たちのほとんどは…
小太郎たちより年上の者で…
ほとんどが水軍などの武家の者たちだった…。
甲四郎の仲間たちは…
真っ先に、小太郎と源三郎、甚兵衛の三人を…数人で袋叩きにした…。
小太郎たち三人を…はじめに痛めつけてしまえば…
あとは…女子供などの弱者ばかりだからだ…。
「イテテテテ…」(小太郎たち)
「エーン…(泣)」(小太郎の仲間の子供たち)
「へへへ~(ヤな笑)
大人しく言うこと聞いてりゃ~痛い思いをしなくてすむものを…
いいか…これは子供同士のケンカなんだからな~!
オメーら…親や大人に…つげぐちするんじゃね~ぞ!!」(甲四郎)
「って…言っても…
コイツらの親が出てきたところで…
ワタシらには…
何一つ訴えることなど…出来ないでしょうけどもね…イヒヒ」(馬之助)
「そうだな…(ヤな笑)
小太郎は…母親を亡くして…
再婚した父親に…迷惑がられて…家を追い出され…
親と離れて暮らしてるんだし…(ヤな笑)
源三郎は…父親は死んじまっていねーし…(ヤな笑)
鈴木の家も…「はまや」も…
オレ様たちに…文句を言えるような家柄じゃねーし…(ヤな笑)
それに…オメーらのほとんどは…
片親だとかのかワケ有りばかりで…
あとは…みなしご…ばっかりだもんなぁ…(ヤな笑)
可哀相なヤツらだ…(バカにした笑)」(甲四郎)
「ち…チクショウ…(悔し涙)」(源三郎)
「まぁ~恨むなら…
オレ様を恨むんじゃなくて…
オメーたちの生まれた家や親を恨むんだな…(バカにした笑)」(甲四郎)
「チクショウ…(悔し涙)」(小太郎たち)
「じゃ~この鯛は…貰っていくぜ~!!(ヤな笑)
ウチのオヤジ様には…
地域の管轄外のヤツラなのに…
挨拶代わりに…って…
ご丁寧にも…こんな立派な鯛を…頂きましたよ…って…(ヤな笑)
なかなか見所のあるヤツラでしたよ~って…(ヤな笑)
オメーらのこと…
ちゃーんと…報告しといてやるからなぁ~
感謝するんだぞ~(バカにした笑)」(甲四郎)
「はははは~(バカにした笑)」(甲四郎たち)
そういい残して…甲四郎たちは…帰っていった…。
「チクショウ…チクショウ…(悔し涙)」(小太郎たち)
すると…小太郎たちの側に…
風魔党の忍びの子供…
「風間の矢五(少年忍び)」と「風間の市(少女忍び)」が…
バツの悪そうな顔をして現れた…。
後から現れた二人は…
小太郎たちが殴られているのを見ても…
「唐島家」の者が相手では…
いくら忍びの技にたけた…
「風魔党」の「忍びの子供」とは言え…
支配者階級の「唐島家」の者に対しては…
立場上、手を出せないでいたからである…。
「ご…ゴメンね…小太郎…(悔し涙)
ゴメンね…みんな…(悔し涙)」(風間の市(少女忍び))
「…………(悔)」(風間の矢五)
「い…いーよ…みんな解っているから…(悔し涙)」(小太郎)
「ゴメンね…(悔し涙)」(風間の市)
「北条家は…
早雲公も…氏綱公も…氏康公も…
他国に比べたら…
領民思いの…良い領主様なんだ…。
氏綱公も…
「侍から農民にいたるまで…全てに慈しむこと…
人に捨てるような者はいない…」
と…訓戒されている…。
それでも…
世襲が三代も続くと…
「唐島」のようなヤツが出てくる…(悲)
下克上の世だというのに…
甚兵衛や源三郎のような「良き者」が…
長男で跡継ぎで無いからだとか…
継ぐべき家が無いからだとか…
そんな理由だけで…
正しく自立することが出来ず…
「唐島」ような…
悪しき「世襲の者」たちの世が続き…
永遠に…この北条家の…
支配者階級を独占するのだとしたら…
もう…この北条家も…
滅亡に向かって…少しずつ…
その屋台骨が…腐り始めているのかも知れないな…(哀)」(小太郎)
「えっ??(驚)」(一同)
「この北条家も…
「満れば欠ける…世の習い…」
って…ワケか…(残念)」(小太郎)
「………(驚&沈黙)」(一同)
「オレたちのような…何も持たない者は…
むしろ…
この腐り始めた…小田原を出て…
新たな土地で…正しく評価してくれる…
良きお方に仕え…
そこで…一から初めて…
自立して生きるのが…一番良いのかも知れないなぁ…(悲)」(小太郎)
「腐り始めている…この小田原が…??(驚)
小田原を出る…この小田原を…??(驚&動揺)」(一同)
「こ…小太郎…(驚)
ちょっと…あんなヤツラにいじめられたくらいで…
そこまで…考えることは…ないんじゃないか…??(心配)」(風間の市)
「そ…そうだよ…(驚)
オレたち…大人になったら…
今よりもっともっとガンバってさ…
アイツらより…絶対、偉くなって…必ず、見返してやろうよ…(慌)」(源三郎)
「満れば欠ける…世の習い…??(驚)
この北条家が…??(驚&悩)」(甚兵衛)
この時、小太郎がフトつぶやいたことは…
小太郎の仲間たちには…ほとんど理解出来なかった…。
戦国の世の…戦に明け暮れる…他国と比べれば…
この小田原は…
温暖な気候で、山海の幸に恵まれ…
合戦の無い…極楽浄土のようなところだった…。
その小田原での生活を捨て…
他国で自立するなど…
小太郎の仲間たちには…思いもよらないことであった…。
天文13年(1544年)…
小太郎…12歳…
立志した…
春半ばのことであった…。
(つづく)