相模の小太郎 第5話 運命の出会い… 【シーゲルの歴史小説】
相模の小太郎 -蒼き疾風外伝- 第5話 運命の出会い… 【シーゲルの歴史小説】
※この物語はフィクションです。
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「小太郎にーちゃん…
おいらたちの家に…変なヤツがいるんだ…(困)」(小四郎)
「えっ??変なヤツ…??(驚)」(小太郎)
小太郎と同居している…小太郎の「孤児の兄弟」たちが…
漁から帰った小太郎たちを捕まえて…大騒ぎをしている…。
「どっかの乞食坊主が…
わたしたちの家に…いついちゃってるんだよ…(困)」(小梅)
「それは…困ったなぁ…
で…その乞食坊主は…どんな感じの男なの…??」(小太郎)
「そうそう…その乞食坊主はねぇ…
中年のおじさんって…感じの年頃なんだけど…
片目で…ビッコひいてるのよ…(怖)
もう…怖くて…怖くて…あれじゃ家に帰れない…(怯)」(小春)
「片目で…ビッコの…乞食坊主…??(怖)
なんか…すごく…気味が悪いなぁ…(怯)」(安本源三郎)
「どうする??小太郎…??」(鈴木甚兵衛)
「とりあえず…
今日の収穫作業を…急いで、やっつけちゃってから…
日が暮れる前に…様子を見に行こう…」(小太郎)
小太郎たちは…その日の収穫作業を…
大急ぎで終わらせて…
慌てて…小太郎たちが住む家に帰っていった…。
小太郎たちの家は…
砂浜に面した丘の上に…松林があって…
その松林の中に…小さな祠のお稲荷さんがある…。
その松林のお稲荷さんの裏手に…
小太郎たちが自分で建てた…小さな掘っ立て小屋があり…
その小屋が…小太郎たちの住まいなのである。
小太郎たちは…皆で、そーっとお稲荷さんの祠に近づき…
その祠の影から…小太郎の家の方を除いてみると…
小太郎の孤児の兄弟たちが話していた…
片目で…ビッコの…乞食坊主が…
小太郎たちの小屋の前を…行ったり来たりしている…。
「(小声で)うわ…醜い…(怖)
ホントに…片目で…ビッコなのねぇ…(怖)
薄気味悪いわぁ…(怯)」(おゆり)
「小太郎…アイツ…
坊主のクセして…腰に刀を差しているぞ…??
なんか…怪しくねーか…??(怯)」(はまや才助)
「うん…そうだな…。
もしかしたら…
他国からの間者(スパイ)なのかも知れないなぁ…??」(甚兵衛)
「うーん…(困)
こんな時に…
矢五と市(風間兄弟(忍び))がいてくれたらなぁ…(困)」(小太郎)
「ク~~~(お腹が鳴った音)」(片目の乞食坊主)
「(小声で)おい…アイツ…腹がすいてるみたいだぜ…??(笑)」(源三郎)
「もしかしたら…何か食い物を分けて貰おうと思って…
オレたちが帰ってくるのを…待っているのかも知れないなぁ…??」(小太郎)
「なるほど…それで…小屋の前を…行ったり来たりしてんのか…(納得)」(甚兵衛)
「どーする…??(怯)」(はまや才助)
「よし。じゃーオレが行ってみるよ…(緊張)」(小太郎)
「え…大丈夫なの…??(心配)」(おゆり)
「大丈夫…(笑)
小屋のモノを…盗み食いするなら…
もうとっくにやって…逃げ出してしまっているだろうけど…
あーやって何もしないで…オレたちの帰りを待っているだから…
心配することは無いだろう…(笑)
じゃ~行って来る…(緊張)」(小太郎)
そう言って…小太郎は…
お稲荷さんの祠の影から出て…
ゆっくりと…小屋に近づいていった…。
「………(緊張)」(小太郎)
「………(緊張)」(影で見守る…小太郎の仲間たち)
「よう~!(笑顔)
おまえさんは…この小屋のぬしかえ??(笑顔)」(片目の乞食坊主)
片目でビッコの乞食坊主は…
その醜い容姿に…似合わないような…
人懐っこい笑顔と声で…小太郎に話しかけた…。
「はい。そうですが…??」(小太郎)
「へぇ~おまえさんの小屋なのかい…??
おとー(父)や、おかー(母)などの…
大人は…いないのかえ…??(笑顔)」(片目の乞食坊主)
「いいえ。大人はいません…。
ワタシとその兄弟が住んでいるだけですよ…。」(小太郎)
「なんじゃ…この小屋には…
乞食が住んでる…と思っていたのじゃが…
漁師の「孤児たちの家」じゃったんか…(哀)」(片目の乞食坊主)
片目の乞食坊主は…
魚臭い…小太郎の風体を見て…すぐに漁師と理解した…。
「それで…わたしたちの家には…どのようなご用件で…??」(小太郎)
「わしゃ…見ての通りの…旅の坊主なんじゃが…(笑顔)
いや~その~なんだなぁ…(恥)
つまり…その…
腹がへってしもーて…の…(恥)
すまんが…なんか食わしてくれんかのぉ…??(恥)」(片目の乞食坊主)
小太郎は…その片目の乞食坊主の顔を…じっと見つめた…。
片目の乞食坊主は…
恥ずかしそうにしながら…無理やり笑顔を見せている…。
(この人は…悪い人では…なさそうだ…(笑))(小太郎の心の中)
「どーじゃ…??
頼むから…わしに…何か食わしてくれんかのぉ…??(恥)
もー何日も…何も…食べてないんじゃ…
なっ!頼む!この通り~!(恥)」(片目の乞食坊主)
すると…小太郎を心配していた…「おゆり」が…突然、飛び出して来て…
「ちょっとアンタ!!銭はあるのかい??(怒)」(おゆり)
「ぜ…銭が無いから…
乞食の家を…たずねてるんじゃないか…(困)」(片目の乞食坊主)
「おいらたちの家は…乞食の家じゃねーぞ!!(怒)」(小太郎の兄弟たち)
「そうだ!そうだ!(怒)」(小太郎の兄弟たち)
「わかった…わかった…許してくれ…この通り…
頼むから…わしに…
何か…食わしてくれ~頼む…この通りじゃ…(真剣)」(片目の乞食坊主)
「みんな!静かに!!(叫)」(小太郎)
「………(緊張)」(一同)
「いいですよ。おじさん(笑顔)
わたしたちもこれから…食事にするところです…。
良かったら…一緒にどうぞ…(笑顔)」(小太郎)
「そ…そーか!!(嬉)
ありがたい!!ありがたい!!
恩に着る!!恩に着る~!!(喜)」(片目の乞食坊主)
「じゃ~みんな!!いつものように夕食の支度を!!(笑顔)」(小太郎)
「あいよ~!!(喜)」(一同)
「甚兵衛、源三郎、才助に…おゆり…
良かったら…一緒に食べてってくれ…(笑顔)」(小太郎)
「そう!(喜)
じゃ~遠慮なく~(嬉)」(おゆり)
「よ~し~!今夜は…気候もイイし…
外で…火を焚いて…みんなで食べよう!!(笑顔)」(小太郎)
「あいよ~!!(大喜)」(一同)
「すまねぇーなぁ…(有難い)
ところで…その…
ついで…っつちゃーなんなんだが…(恥)」(片目の乞食坊主)
「わかってますよ…(笑顔)
おじさん…泊まるトコも…無いんでしょ…??(笑)」(小太郎)
「えへへへ…(恥)
ほんに…すまねぇ…(恥)」(片目の乞食坊主)
「いえいえ…(笑)
ところで…おじさんの名前は…??」(小太郎)
「わしか…わしゃ…
山本勘助…(笑顔)
勘助って…呼んでくれ…(笑顔)」(片目の乞食坊主)
その夜から…小太郎たちの小屋には…
この「山本勘助」という…片目の乞食坊主が…
小太郎たちと…一緒に住むことになった…。
この「山本勘助」は…
後に…
甲斐・武田家の「武田晴信(のちの信玄)」に仕え、
伝説の名軍師として名を轟かせた…
「山本勘助」…その人であった…。
この「山本勘助」との出会いが…
その後の「小太郎」たちの運命を…
大きく変えていくことなるのだが…
それは…後の話のこと…。
天文13年(1544年)…
小太郎…12歳…
春の夜の…
運命の出会い…の日のことであった…。
(つづく)