相模の小太郎 第6話 思い出の初夏の日… 【シーゲルの歴史小説】
相模の小太郎 -蒼き疾風外伝- 第6話 思い出の初夏の日… 【シーゲルの歴史小説】
※この物語はフィクションです。
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「うぇ…(吐)うぇえ…(吐)うぇええ…(吐)」(山本勘助)
「ダメだなぁ…勘助おじちゃんは…
吐いてばっかりで…ちっとも役に立たないや…(笑)」(小一郎(小太郎と暮らしている孤児))
「はははは~(笑)」(小次郎、小三郎(小太郎と暮らしている孤児))
「こら!
仕方が無いじゃないか…
勘助様は…まだ海や船に慣れてないのだ…
誰にだって…そーいう時期はあっただろ??
オレだってそうだし…
小一郎も…小次郎…小三郎も…
ついこないだまで…そうだったじゃないか…??(笑顔)」(小太郎)
「そーよ!(笑)
だから…勘助様を…悪く言わないの…わかった??(笑)」(おゆり)
「は~い…
でも…それにしたって…勘助おじちゃんは…
吐きすぎだよねぇ…(笑)」(小一郎)
「うぇ…(吐)うぇえ…(吐)うぇええ…(吐)」(山本勘助)
「はははは~(笑)」(一同)
「それで…どうなんだい…今日の収穫は…??」(はまや才助)
「じゃ~ん~!!(嬉)」(安本源三郎)
「おお~!!(驚)
カツオじゃないか~!!(驚&喜)」(はまや才助)
「初カツオだね!!
やったね!!小太郎さん!!
さすが!!小太郎さん!!(驚&喜)」(おゆり)
「へへへ~おいらたちも…何匹か吊り上げたんだよ~(自慢)」(小一郎、小次郎、小三郎)
「そうか!!オマエたちエライぞ~!!(喜)」(おゆり)
「へへへ~(嬉)」(小一郎、小次郎、小三郎)
「小太郎…
カツオは…33尾ある…
そのうち…キズものが…3尾あるから…
これはオレたちの夕食とするして…
あとの30尾は…どうする…??」(鈴木甚兵衛)
「もちろん…すべて「はまや」に納めるけど…それが何か…??」(小太郎)
「(ニヤって笑ってから)
じゃ~「はまや」さんは…この初カツオを…
すべて「はまや」さんに納めるの…??(ニヤニヤ)」(甚兵衛)
「そうだなぁ~(ニヤニヤ)
まぁ~半分は…ウチに納めるとしても…
残り半分は…商店の親元の…
「加賀屋」さんに持っていかねばならないだろうねぇ…(ニヤニヤ)」(はまや才助)
「か…加賀屋に…??(ドキドキ)」(小太郎)
小太郎は…加賀屋と聞いて…
すぐに…小太郎の憧れで…初恋の人…
加賀屋の娘「静江」のことを思い出した…。
「そう…加賀屋さんに…(ニヤニヤ)」(才助)
「……(ニヤニヤ)」(甚兵衛)
「……(赤くなる)」(小太郎)
「………(怪しむ目&焼いている目)」(おゆり)
浜での作業を終えた小太郎たちは…
今日漁で収穫した…「カツオ」などを持って…
「はまや」に…納品に行った…。
「はまや」の主で…
才助の父である「はまや大五郎」は…
「初カツオ」の納品を大変喜び…
「小太郎…ようやった…(喜)
ついでで悪いが…残りのカツオを…ワシの使いとして…
「加賀屋」さんに…直接、届けてやってくれ…(笑顔)」(はまや大五郎)
「いや…そ…そんな…わたしなんかが…加賀屋さんに…(恥)」(小太郎)
「何を遠慮しておる…
「加賀屋」さんに納めた…この「カツオ」の一部は…
必ずや…「お城」(小田原城)に…届けられることであろう…。
さすれば…オマエが釣った「カツオ」が…
殿(北条氏康)の御膳にあがるやも知れぬのだぞ…(喜)
この上ない…名誉なことではないか…(喜)」(はまや大五郎)
「は…はぁ…(嬉&恥)」(小太郎)
「小太郎…わしはな…
親元を離れ…多くの孤児たちの面倒をしながらも…
仲間と共に…健気に生きている…
そなたを勝っておる…(嬉)
そなたのこれからのためにも…
加賀屋さんに…顔を出しておきなさい…(笑顔)」(はまや大五郎)
「は…はい…ありがとうございます…(嬉&恥)」(小太郎)
そう言われて…小太郎は…
才助とおゆりの案内で、甚兵衛と源三郎を連れて…
「加賀屋」に向かった…。
「加賀屋」は…
「はまや」とは…目と鼻の先ほどの近い場所にあるのだが…
小田原一の豪商…と言われるだけあって…
その敷地は…広大で…
街道沿いにある大きな店舗から、
いくつもの土蔵があって…さらに大きな屋敷がある…
その屋敷の庭地が…
小太郎らの小屋がある…
浜辺にある…丘の上の松林の…すぐ隣まで…
庭の敷地がおよんでいるのである…。
なので…
加賀屋の娘「静江」が…
いつも…海を眺めている場所は…
屋敷の庭地から眺めている…ということなのである。
加賀屋の店頭に行って…
「初カツオ」を納めに来たことを…店の者に告げると…
店の番頭が大喜びで…
屋敷にいる「加賀屋の主人」に使いを出して…
その知らせを伝えて戻ってくると…
「旦那様が…
お会いになるそうだ…」(店の番頭)
と言って…
小太郎たちに…カツオを2尾だけ持たして…
屋敷の方に…案内された…。
屋敷には…
加賀屋の主人「加賀屋六郎兵衛」が…
娘「静江」を連れて…
小太郎たちの前に現れた…。
「…………(緊張して、頭を深々と下げている)」(小太郎たち)
皆は…
加賀屋の主人「加賀屋六郎兵衛」が…
現れたことに…緊張しているのだが…
小太郎だけは…
「静江」が現れたことに…緊張しているようだった…。
「皆、面を上げよ…(威厳がある)」(加賀屋六郎兵衛)
「はっ…(緊張)」(小太郎たち)
小太郎たちがゆっくりと…頭を上げると…
そこには…娘「静江」の「父親」…と言うよりは…
「静江」が「孫」のように見えるくらい歳の離れた…
白髪交じりの初老の父親だった…。
「ご苦労であった…(威厳がある)」(加賀屋六郎兵衛)
「あ…ありがとうございます…(緊張)」(小太郎たち)
ゆっくりとして…優しげな言葉使いだが…
なんともいえぬ…威厳がある…
小太郎の第一印象は…とても「いい人」のように思える…。
小太郎は…そう思って…
加賀屋六郎兵衛の顔を…もう一度良く見てみようと…
ゆっくりと…顔を上げてみると…
加賀屋六郎兵衛の隣で…
優しげな笑顔を投げかけている「静江」の顔が…目に入ってしまった…。
「…………(驚いて…下に目をそらし…顔が赤くなる…)」(小太郎)
「しかし…そなたらは…
わしの思っていたより…ずっと若いな…
わしの娘と…同じ歳くらいかな…??(威厳がある)」(加賀屋六郎兵衛)
「はい…父上様…(笑顔)
同じ歳くらいの者たちかと…思います…(笑顔)」(加賀屋の娘「静江」)
「…………(嬉)」(小太郎)
小太郎たちは…
加賀屋の娘「静江」の声を…初めて聴いた…。
父に似たのか…??父のしつけなのか…??
父のように…ゆっくりと…優しく語りかけるのような声で…
それが…小太郎には…「天女のささやき」のようにも…思えた…。
「美しく光輝く…夕刻の海を眺めていますと…
いつも…彼らが…砂浜で…
元気で…楽しそうに…作業をしているのを見かけます…(笑顔)
彼らは…子供たちだけで…漁をやっているのですよ…(感心&笑顔)
その子供たちの中には…
孤児の…幼い子も…数人混じっていて…
子供たちだけで…生活しているのですよ…(感心&笑顔)」(加賀屋の娘「静江」)
「ほう…そうか…(哀)」(加賀屋六郎兵衛)
「そんな彼らが…
元気に…楽しそうに…作業をしているのを見ていると…
なぜだか…このわたしまで…
元気で…楽しい気分になるのですよ…(笑顔)」(加賀屋の娘「静江」)
「そうか…(笑顔)
では…今度…浜で、娘を見かけたら…
挨拶でもしてやってくれ…(笑顔)」(加賀屋六郎兵衛)
「は…はい…喜んで…(嬉)」(小太郎)
そう…言い残して…
加賀屋六郎兵衛は…屋敷の部屋に戻っていった…。
そして…その去り際に…
加賀屋の娘「静江」が…
一度立ち止まってから…小太郎の方に振り返り…
優しげで柔らかい笑顔を投げかけてから…
屋敷の部屋に入っていった…。
「…………(胸キュン)」(小太郎)
小太郎は…その夜…
去り際に見せた…その「静江」の笑顔が…
小太郎の…目に焼きついて離れなかった…
春も終わりと…初夏のはじまりの…
心地よい季節の変わり目の中で…
小太郎の「静江」に対する気持ちまでもが…
心地よい初夏を迎えようとしていた…
天文13年(1544年)…
小太郎…12歳…
忘れらない…
思い出の初夏の日…のことであった…。
(つづく)